クリニックや医院の設計・デザインで知っておくべき3つのステップ
クリニックや医院(病院)の外観・内装は、イメージに直接つながりやすい傾向にあります。
建物の仕上がりによって、集患効果や患者さんの定着率は大きく変わっていきます。
そのため設計・デザインをする際は、患者さんのための空間であることを第一に考えることが重要です。
今回は、クリニックや病院の設計・デザイン(内装)で知っておくべき3つのステップを解説します。
事前にどのようなステップがあるのか把握しておくと、作業をスムーズに進めやすいです。
クリニック・医院(病院)を開業!どうやって設計施工すればいい?
クリニックや医院(病院)の設計・施工方法は2通りあります。
一つは設計を設計会社や設計事務所、デザイン事務所に依頼し、施工は建設会社に依頼する方法です。
もう一つは、設計・施工共に同じ会社に発注する方法です。
どちらの方法にもメリット・デメリットがあります。
設計と施工を別々の会社に依頼するメリットは、設計図面を元に、施工会社に見積もりを作成してもらい、工事価格を比較できるところです。
その反面、ビル内のクリニックのように契約時から家賃が発生する場合は、同じ会社に発注するよりも時間がかかるため、その分の家賃なども支払う必要があります。
一方で設計・施工を同じ会社に発注する場合は、施工会社を探す手間が省けるため、時間を節約できるのがメリットです。
しかし、工事価格の比較ができないので、相場よりも少し高い可能性があるのがデメリットとして挙げられます。

ステップ1:クリニック・医院専門の設計事務所の選定
クリニックや医院(病院)を開業する際、まずは専門の設計事務所を選ぶ必要があります。
設計事務所の選定がクリニックや医院(病院)の運営に大きな影響を与えるので、多くの情報を集めた上で、医療業界に精通している設計事務所を選ぶことが大切です。
設計事務所を選ぶときは、「施工実績」「デザイン」「守秘義務対策」の3つのポイントを確認しましょう。
これらはクリニックや医院(病院)の設計・デザインをする上で、重要なポイントになります。
施工実績がある業者を選ぶ
外観や内装がおしゃれでも、医療用に使える建物でなければ意味がありません。
クリニックや医院(病院)の設計監理は、専門的な知識が必要です。
施工実績が多い業者は、それだけ専門的な仕事をしてきたと言えます。
今までの実績をもとに、的確なアドバイスをしてくれる設計事務所を選ぶことが大切です。
また、予算内で最適なクリニック・医院(病院)の設計監理を行ってくれるのかも、設計事務所を選定する上で重要なポイントとなります。
設計事務所のホームページに掲載されている建築事例や、過去の建築を調べてみましょう。
実績の更新頻度が高い設計事務所は、より信頼して依頼することができます。
設計事務所の選定は開業コストを大きく左右するだけでなく、建物の維持保全にも関わるので、なるべく多くの情報を集め、精査することが大切です。
デザイン・内装に強い業者を選ぶ
クリニックや医院(病院)を開業する際は、外観と内装の両方に着目することが大切です。
特に清潔感があるというのは必要不可欠でしょう。
清潔感を保つために掃除を怠らないことも大切ですが、デザイン・内装面を工夫することで清潔感のある空間は作り出せます。
また、患者さんと医師・スタッフ双方の動線を意識して設計できるかという点も重要なポイントです。
クリニックの仕上がり次第で集患効果は変わってくるので、デザイン・内装に強い設計事務所を選びましょう(詳しくはこちらのページ)。
守秘義務対策ができる業者を選ぶ
日本では患者さんのプライバシーを守ることが法的に義務付けられています。
電子カルテなどの情報漏洩対策は厳重にされていても、診察室・処置室での会話が外に漏れてしまっているクリニックや医院(病院)は多く存在します。
医師との会話が外部から聞き取れるところは、信頼を失いかねません。
完全防音を実現するのは難しくても、会話が聞き取れない程度の守秘義務対策ができる設計事務所を選びましょう。

ステップ2:内装・デザインのコンセプトを決める
設計事務所が決まったら、次は内装・デザインのコンセプトを決めていきます。
どんな内装にするのかによって、集患効果や患者の定着率は大きく変わります。
運営の安定化にも関わってくる重要なポイントです。
安心感や癒しを与えられる空間作りはどのクリニックも同じですが、細部のデザインを決めるときは、開業にあたっての想いやクリニックが目指す方向性などを設計事務所に共有することで、設計事務所側も提案を出しやすくなります。
専門的な知識を兼ね備えている設計士や設計士・デザイナーのアドバイスも取り入れると、より良い内装・デザインのコンセプトが出来上がります。
設計士やデザイナーのアドバイスを聞く
医療業界に精通している設計士やデザイナーは、専門的な知識を多く持っています。
医師やスタッフ、患者の動線を考えながら、要望のコンセプトに応えられる能力もあるので、要望を把握した上で的確なアドバイスをしてくれるはずです。
待合室やトイレなど、細かい部分でもこだわりのポイントがあれば積極的に相談しましょう。
基本的に打ち合わせは数回行い、より良いコンセプトにしていきます。
守秘義務対策や防音対策も施されているか
クリニックや病院の内装・デザインのコンセプトを決めるときは、守秘義務対策や防音対策も施されているかも重要なポイントです。
たとえ医者の技術が高く内装のデザインが良くても、隣の部屋から問診の内容が聞こえるなどの守秘義務に関わる問題があれば、患者からの信頼が失われ、クリニック運営に大きな影響を与えます。
患者と医者・スタッフ双方の動線を守りつつ、守秘義務対策や防音対策の施工ができるのか必ず確認しましょう。
ステップ3:内装図面の確定
内装は見取り図の段階で、医師の要望やこだわりを元に提案し、後になって修正工事が発生しないようにすることが大切です。
一般的に最初の図面から5〜6回は図面の引き直しになることが多いですが、引き直しは可能なので、積極的に要望を伝えましょう。
意匠図面というクリニックの面から見える見取り図が引かれた後は、正式な詳細設計に入ります。
クリニック・医院の設計デザインの注意点
クリニックや医院の設計・デザインは、有床診療所か無床診療所かによって大きく変わります。
建築基準法上、20床以上が病院と規定され、それ以下は診療所扱いです。
19床以下でも建築物としての分類は「特殊建築物」と規定され、避難や内装制限などの規制が無床診療所よりも格段に厳しくなります。
また、建築基準法の他にバリアフリー法や地方公共団体条例の規制もあります。
このようにクリニックを開業する場合、様々な規制があるので、このような問題を解決するためにも設計士やデザイナーに相談するのが一番です。
クリニックの建築・設計について詳しく知りたい方は、東京・関東を拠点に全国展開しているホスピタルスペースの無料相談までお問い合わせください。

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2022.04.12